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劇場版銀魂見ているよ(現在進行形)


劇場版見てきました。
(何度も見に行ってます)

こんな時間なのにあげたかったのは今じゃないとだめだと思ったから。


ネタバレになってるのでご注意を。
したからどうぞ。

しょぼい絵もついてます。




ああ、もう寝なければあと3時間。




拍手[4回]

※厭魅銀時×デコ方さん
ある意味ハッピーエンドでバッドエンド。またこそこそいじるかもしれません。






















はやく。

はやく会って。

その言葉を言いたかった。

「          」

 

**********************

3人がターミナルへ入っていくのを見かけた俺は、その時総悟とは別行動をとっていたので他の奴らに連絡を入れてもらうよう伝えた後奴らを追った。
途中で見失ったが、凄まじい何かがぶつかる音が聞こえ、転びそうになる足をひたすら持ち上げ上階へ走る。


「俺をやれんのは俺しかいねえ・・・」

かぼそい声が耳に届く。
夕日に染まる中で見たのは珍宝、なんぞというやつと木刀で貫かれた「そいつ」が会話をしているところであった。
二人が交わす言葉の中で珍宝がいったい何者だったのかを悟ったが、結局俺は瓦礫のそばでただつったって黙ってみているだけだった。
珍宝が今から5年前の坂田だと知りえたのは大きい収穫であったが、何故か追いかけようとしない自分がいて。
階段に座ったままの「そいつ」をじっと見つめていた。

その男はどう考えても記憶の中で合致するのがただ一人だけだったのだ。

まぶしい銀色の髪が色をうつさない白髪(はくはつ)になっていたって。
物珍しい流水紋様の着流しじゃなくたって。
変な文字が顔に浮かんでいたって。

誰かなのか、なんてこいつしかいなかった。

男が立ち去った後、わざと靴音を鳴らしながら俺は近くへ歩き出す。

じゃり・・・

がつん。

そいつを蹴ってみる。

動かない。


「おい」


聞こえているだろうに、そいつはうんともすんとも返事をしやがらない。


「聞こえてんだろ、死にぞこないさんよぉ」


それなりに酷い言葉を発していると自分でもわかっていた。わかってやっているのだ。
5年分蓄積された己の思いはこんなもんじゃぬぐえない。
それほどに会いたくて会って殴りたかった。喚き散らしたかった。
しかしいざ目の前にするといいたい言葉はひとつしかわいてこなかったのだ。
 

「・・は」
 

そいつから聞こえたのは乾いた声だった。喉の奥から絞り出すような。切なさと、愛しさをこみ上げるように。
 

「しに、ぞこな、いってまあまあ、・・・・酷い、言いぐさじゃね、・・・の」
 

「おおぐしくん」
 

ああ、やっぱり。
違っていてほしかった、いや、違っていてほしいようで奴であってほしかった。
おかしな話だと自分でも思う。
 

「そんなぼろだらけの体(てい)なのに、しれっと寝たふり決め込んでたら死にぞこないにも間違えるわ」
「久しぶりに・・・会っても、つめた、いのな」
「・・・5年」
「・・・・・」
「待たされたのは5年だ」
「長か、ったかね」
「さあな」
「おたが、い歳くった、な」
「ああ」
「大層えろく成長、してんじゃ、ねーの?」
「いつまでたってもてめえはそればっかりか」
 

ぽつりぽつりとそいつが話し出す。
それとともに固まっていた己の体も力が抜けた。俺はそいつの横にしゃがみ込む。
冷たいコンクリートから冷気が浸み込んでくるようだ。
いや、こいつからか。
 

「あいつら、うまく、やってくれ、る、かな」
「てめえが見込んだ万事屋なんだろ?てめえが信じねえでどうする」
「そ、だな、はは・・・」
「俺、さ、・・・てめえでまいた業(ごう)だから、きっと、過去の自分以外の誰にも会えず・・に逝く、と思ってた」
「そ・・が当たり前(めぇ)だって・・」
「でも、」
「5年も待ってて、くれ、たんだ、な」
「こんなやろ、う、・・見捨てちまっても、かまわねえの、によぉ・・」
 

「・・っ、はぁ、や、ぱり俺の隣にいて、くれんのは・・」
 


そこまで続けて奴は言葉を飲み込んだ。
自分も何も言えなかった。言えない代わりに最初で最後俺からの抱擁をくれてやった。
ぬくもりもなかったけれど、こいつの匂いがする。
血なまぐさく、少し埃っぽいけれどこいつの香り。
いつもとかわらねぇ。
遠い過去と懐かしさに胸が熱くなった。これ以上は余計なものまで出てきそうで。
まぶたを閉じた奥でもう何度も思い返してしまってはかすんでしまった銀色が浮かんだ。


「バカ野郎」
「もうすぐしたらきっとガキどもが来らぁ」
「それまで」


「ひじかた、」
「なんだ・・」



「ただ・・い、ま」


小さな声で俺が聞きたかった言葉を。
この5年ずっと聞きたかった言葉を。
こいつは。
今。
 

「―――っ・・・くそっ」
「おっせ、んだ、よてめ」
 

唇が震える。流れ出る滴で頬が熱い。焼けるようだ。
こんなに抱きしめた身体は冷たいのに。凍りつきそうなくらい寒いのに。
どうして。
眼窩から溢れる熱いものが、どうしてとまらない?


「はは、泣いて、・・ん、の?」
「るせ、・・・っ、てめぇ、待ってるうちに、涙腺弱くなったんだよ」
「歳とった証拠じゃ、ねぇか」
「てめぇもだろが」
「だ、な・・、俺、さ・・・もう目見えねえんだぁ・・」
「・・・・・」
「きっと、身体んなかきせい、した・・・ナノマシンのコアが、破壊されたことによ、って・・呪縛は解けたけ、ど・・はっ、ぁ・・・・おかげ、さま、・・で、ただの人間に戻っちまった、んだ、な」


そうこうする内にたぶん俺の体も消える。


そう言って奴は小さく笑う。

「たぶん副作用か、なんかで・・人の、あったかさももうわかんなくて」
「お前に抱きしめられてる感覚あるのにな」

手も動かねえよ、泣いてる恋人抱きしめられねえなんて男として失格だろ、というそいつが愛しかった。

「ばか」
「てめえが抱きしめれねえなら」
「その分俺が抱いてやるから」


「それでも満足しねえなら」


次第に重くなっていくそいつを受け止めながら俺はそっとキスをした。
唇から伝わるように。己の熱を分け与えるように。
唇を話す瞬間、目をそうっと開くと、見えないこいつの赤い瞳がじっと俺を映してた。
そいつの中の俺は酷い顔をして。―
――ああ、本当に醜い。
今のこいつが見えてなくてよかった。きっと笑われるに違いない。


「いくらだって俺が」


その後の言葉は続かなかった。口に出すと、言葉にならないとわかっていたから。
ただの悲鳴にしかならないんだ。


「あったけえ・・・」


きっと熱が伝わっているはずなどないのに。
こいつはあったかいと泣きながら笑う。



「・・・、ひじかた、」
「お、れ・・・消えたく、ねぇよ」
「もっとかっこいい感じで、終わりたか、・・・たのにさ」
「未練なんてたらったらで、全然たちきれねえ」
「・・もいち、どお前の、顔が見たい」
「まだまだお前と、」
「5年後・・・のお前と・・い・・や、5年前から、いっしょに、生き」

そこで言葉が止まる。
もうお互いの顔なんて見えてなかった。
きっと叶いそうにない儚い夢だと知っていても。
願う言葉は限りなくて。



(   生きていきたかったよ   )




すうっとお互いの身体が消えていく。ああタイムリミットはもうすぐなんだな、と告げられてもいないのに感じていた。


「な、ぁ・・」
「・・・んだ、」
「ただいまの・・・あとのことば、聞いてね、えぜ」
「んなもん・・・いくらでも」


「俺だってずっと言ってやりたかったよ」



罵詈雑言でも、恨み辛みの言葉でもない。
粉塵をまとった髪の毛をずっと撫でながら、心に秘めて言えなかったたった一言を。









 

 

「おかえり、」


「銀時」









聞こえてるかわからねえが。

これが、俺がてめえに伝える今生での最高の愛の言葉だ。




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