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銀誕小説 「不器用な大人たちの愛し合い方 前」


銀誕小説です。
銀土なのですが、今回は万事屋の子どもたち視点で。
銀土小説なくせに二人が一緒に居るのは最初のみという・・
最初は甘甘じゃないのでご注意ををを。
後編は当日アプします。
上手く行けば9・10・11日な感じでアップできたらいいのに。

拍手[2回]







坂田銀時と土方十四郎。

これが私の今一番近くに居る「おとな」。
だけど餓鬼くさいって言ってもいいくらいのおとなだ。
いい年して喧嘩っ早い。
怒声に罵声のオンパレード。
きっとずっとその場に思春期の子どもがいたら非行にでも走り出しそうな環境だと思う。
私はとぉぉってもいい子だからちゃんということは聞いてる、つもりだ。

そんな二人は実は恋人通し、だったり、する。
それを銀ちゃんから初めて聞いた時は冗談にも程がある、と思った。
だって、顔を合わせれば挨拶の前に口から罵詈雑言の後に手が出て足が出て、みたいだったから。
今思えば全くとんだ餓鬼の喧嘩みたいなものだった。
そういった姿を見てきたから、信じられなかったけど・・・
でも。
何だか喧嘩するたびに楽しそうだなって思ってた。
喧嘩してるくせに表情はきらきら輝いて楽しそうで。
改めて思い返したら、すっと違和感に感じてたものが取れたようだったから、今では不思議に思うことは無い。

私は今まで恋なんぞというものを一度もしたことが無い。
恋をした事で食が進まないということを聞いたことがある。
そんなもんよりも腹が膨れる方が大事だ。
こういった自分だから、どういったものが「お付き合い」なのかわからないけれど。
だけど、だけど付き合うということは、
怒鳴りあいばっかりじゃないと思うのだ。きっと。


この二人は何時になったら成長するんだろうとつくづく思わされる。
か弱くて、非力な可愛い子どもの自分でも、「ごめんなさい」の言葉は知っていた。
だけど、この二人を見てる分、明らかにその言葉を耳にしたことは一度としてなかったはずだ。
実はお互いにベタ惚れなくせして、喧嘩は日常茶飯事という有様。
その喧嘩の内容も聞いてれば下らないものばっかりで。
大人な私も、ついイラッとしてソファー投げてやったこともある。
例えば。

ご飯についてだったり(これは二人ともにいえること)、テレビ番組が気に喰わなくてチャンネル奪い合ってたり、銀ちゃんが一方的にトシチャンの容姿に難癖つけてたり(ぶっちゃけ羨ましいだけだと思う)、銀ちゃんの寝汚さにトシチャンが切れたり、この前はパチンコで全部すられて帰ってきてた所に丁度トシちゃんも居合わせて。
あの後銀ちゃん口もきいてもらえなくて放置プレイだったんだった。

と、いうように。
言えば言うほど下らない。
だけど、気づいたらいつの間にか会話してた。

とどのつまり、心配すればするほど損ということなのだ。
此方がいい当て馬に使われるだけなのだ。
このバカップル共め。いい加減にしろ。
確かに、いい加減素直になればいいのに、と思ってはいる。
だけどこの二人のことだから無駄足なんだろうな、と思ってたのに。
今日の万事屋での紛争は、至って静かだった。

 


「馬鹿にしてんのか?」
「あぁ?何でそうなんだよ」
「つまりお前は俺を女みてぇに思ってんのか、って聞いてんだよ」
「いや、だから違えって、そういうことじゃなくてよ、」
「てめぇに女扱いされる覚えはねえし、てめぇの所有物になった覚えもねぇ」
「はぁ?意味わかんねえんですけどォ。誰が、いつ、んなこと言ったよ」
「てめぇのその言葉丸々きいてたらそう言う風に解釈できんだよ」
「・・・俺が言いたいのはなぁ、無駄にこさえることない傷作ってんじゃねえよって言ってんの」
「はっ、傷のついたヤローなんか抱きたくねぇってか」
「だからどうしてお前はそうやってすぐ自分の都合のいいように曲解すんだよ、いい加減にしろや」
「いい加減にすんのはてめぇのほうだろうが。だよなぁ?おちおち傷作られてちゃぁ、セックスん時に集中できねぇよな、目触り過ぎて」
「あ?俺がお前のこと、性欲処理みたいだと思って抱いてたとでも言いてぇの?いい加減、温厚な銀さんでもぶち切れそうなんだけど」
「んなもん、てめぇじゃねぇんだから俺が知るかよ。だが、その言葉がそうなんじゃねぇのか」
「・・・そういうところが女々しいんじゃねえのかよ」
「・・・んだと・・・?」
「あんだよ、文句あんの?」
「・・・・・・ちっ、胸糞ワリィ、帰る。てめぇの面なんざ金輪際見たくもねぇ」
「おーおー帰れ帰れ、こっちもお前のマヨネーズ面見てるだけで吐きそうだわ」
「・・・・糞甘ったるい糖分野郎が。糖尿病で死にやがれ」
「てめぇこ、」
ガララララッ
バンッ


「んだよ・・・心配しちゃァ悪いってのかよ・・」

ふざけんじゃねえ、と小さく呟く銀ちゃんの横顔は苦々しそうで。
最後まで言えなかった銀ちゃんの言葉は、冷たい玄関の扉に遮られて置き去りにされて。
トシちゃんの鉄階段を下りていく音がどんどん遠くなっていった。

何時もみたいな怒鳴り合いじゃなかったのだ。
私がサド野郎とする喧嘩は確かにムカつくけどこんなに後味の悪いものじゃなかったように思う。
ため息をつくだけで飲み込まれそうなどんよりとした空気。
二人の喧嘩は煩いしうざいし時々本気で伸してやろうかって思ってたけど、どこか楽しそうで。
普段素直になれない分、互いを分かち合える時間みたいだったのだ。

 

 

「・・銀ちゃん、」
「あ?神楽、お前起きてたのか」
「トシちゃん、怒って帰っちゃったアルか・・?」
「あーあー気にしなくていいって。何時ものことだからよ」
「・・・・」
「・・・?神楽?」
「・・・・ちょっと出かけてくるネ」
「ちょ、お前朝飯は?」
「後で食べるから残しといてヨ!」
「おい、かぐ」
「直ぐ帰ってくるアルーー!」

 

もう秋だから、朝も涼しい。お日様もそんなにきつくない。
だけどいつもの傘を片手に私は走る。

どうしてよりによって今日なんだろう。
初めて何かを貰った子どものように嬉しそうに日めくりカレンダーを捲ってた銀ちゃん。
ドアを開けて出て行くときに、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ苦しそうに悲しそうにこっちを見たトシちゃん。
今日は一年に一度しかない日で。
其れがどんなに大切な日か私は銀ちゃんに、皆に、教えてもらった。
そんな日にこんな馬鹿なことって無いのだ!

誕生日プレゼントは、決まった。

(トシちゃん、どこだろ・・・)
銀ちゃんと違って気を紛らわせるようなものも何も無いトシちゃん。
プライベートは職場に持ち帰らないって言ってたはず。
なら尚更、そのもやもやが胸いっぱい埋め尽くしてる。
心を苦しめてるに違いないのだ。
絶対そのままの顔で屯所(あそこ)に帰る訳ない。
きっとどっかで立ち止まって、


「いた・・・」
やっぱりかぶき町の女王の読みは強いのヨ。









*****








「ふんふんふふふ~んふふ~ふふふんふふっふふん」
珍しく、朝からわくわくした気持ちで僕は万事屋に向かっていた。
なんてたって、今日は銀さんの誕生日だ。
そんなわけで今日は万事屋も休業ってわけで。毎日開店休業中みたいなもんだけどね。
昨日の銀さんといえば、そわそわ落ち着かない様子だったけど。
(・・そういや、土方さんと付き合ってから初めての誕生日なるんだっけ?)
今までは、言われるまで覚えてないようだった癖に、昨日は自分で日めくりカレンダー捲ってた気がする。
いい年こいたオッサンが、付き合いたての彼女が心待ちにしてるみたいでちょっと気持ち悪かったなぁ。
普段はどんな時でも腰を落ち着かせたら動こうとしないぐうたら人間だから放って置いたっていいけれど、こんな日くらいは重宝してあげてもいいと思った。
誕生日は生まれてきたことを感謝する日なのだ。
何度、僕は銀さんに助けてもらったか分からない。
銀さんに出会った事で、僕はもう一度新しく生まれてきた気がするから。
そんなわけで、今日は昼の間に神楽ちゃんと一緒に飾りつけするつもりだ。


「今日はご飯何にしよう」


そういえば、土方さんは昨日は来ていなかったけど、今日は来られるんだろうか。
「一緒に作れたらいいのになあ」
(ああ見えて、土方さん料理上手いから・・・・)
凄く整った顔立ちだけど、ガチでやくざみたいな目付きした一見冷ややかな印象を持つ土方さん。
でも、時々ご飯を作ってくれることがある。
それを知ったときはとっても驚いた。
いつもは仕事を終えてから来るため、たまにしか食べられない土方さんのご飯。
どこで会得したのか、案外いい味を出すそれは万事屋のみんなにも人気だ。
ちょっと濃い目の味付けの食欲をそそる味。
ほんのたーまに土方さんと一緒に台所に立つこともあったり。
前の晩に泊まっていった時(まぁ、勿論それはそういうことを致すためで)、次の日の朝、玄関を開けたら台所から包丁の音が聞えてきて、いい匂いがして。
(――母上が生きていたら、・・・こんな感じなんだろうか)
「て、僕何考えてんだろう、土方さんは男なのに・・・」

母上が亡くなってもう大分経つ。
別にマザコンというわけではないけれど、思春期という時期を母親がおらず過ごした自分は、やはりどこかにそれを追い求める姿があるようだ。
まぁ、あんなプー太郎が父親とか絶対認めないのだけれど。
土方さんは顔だけではなく性格からして「カッコいい」という言葉が当てはまる。
男の中の男で、真選組の副長という実質、組のNO2という人物でもあって。
何よりも真選組を、近藤さんを大切にしている。
前線で真選組の剣と、盾となれることを自分の一番の誇りとして、血で汚れることさえ厭わない。
自分の一本の武士道を貫く侍中の侍の一人だ。
顔もいいくせに仕事も出来て、悪食と口の悪ささえ除けば本当にモテるクールな人。
そんなわけで、僕も憧れを抱いてたりする。
一見、やわらかで甘い匂いのしそうなあたたかい母親像とはかけ離れた次元に存在している人だ。
だけど、神楽ちゃんが土方さんを随分慕っているのを知っている。
その理由だってご存知だ。
 

土方さんは一度内側に入れた人には滅法弱いからだ。


僕だって何度と無くさり気なく甘やかしてもらったか分からない。
「甘え」というものが子どもの特権だと知っているけれど、それを敢えてできない環境で育ってきた僕たちは、一度そのぬくもりを知ってしまったら離れられなくて。
きっと、銀さんもそうなのだろう。
あんなに普段は喧嘩してるくせに、暇を見つけてはどっかの情報から得た巡回ルートを歩いてるみたいだし。
かといって、会えたら会えたで下らない口喧嘩とかで濁してるけどね。
僕たちの前では別に、全然興味ないし、みたいなフリしてるくせに。
既に家で一緒にご飯食べてる時点でそんなことしたって意味ないって話だ。
全く、素直じゃないというか天邪鬼な二人というか。

 


そうこう考えているうちに万事屋が見えたと思ったら、その万事屋の階段を下りて行く神楽ちゃんが見えた。
「あれ?朝ごはん食べてないよね?こんな時間にどこ行くんだろ」
朝ごはんはまだだよなぁ、というか一応今日は僕の当番だから銀さんが作ったわけじゃないし・・・
「かぐらちゃ、」
声をかけようと思ったが辞めた。
稀に見る必死の形相だったからだ。何か急ぐことでもあったんだろうか。
まぁその内お腹すかせて戻ってくるだろうと思い、僕はそのまま万事屋に向かった。
鉄で錆びかけた階段を登ってこれまた罅(ひび)の入った家の壁を横切る。

「おはようございまーす」

ガラ、ガララ、・・と少し立て付けの悪いドアを開けた。
また修理しなくちゃ。
お金が無いから全て自分たちで出来る所は修理する、金が無く業者を呼べないなど何とも悲しいが、日曜大工を身につけると思えばいい。
そう思いながら下履きを脱ぎ、廊下にあがる。
静かで気配が無い所を見ると、あのオッサンはまだ惰眠を貪ってるんだろうか。また昼前まで寝る気だな・・・。
普段は怒鳴りつけながらも放置しておくのだが、今日はそういう訳にはいかないのだ。
「・・・銀さーん、朝ですよー、ほらほら起きてくださ、・・・・・~っ!」
ヒュッと息を呑む。
薄暗い廊下の端に何か蹲ってるのが見えたのだ。
足があるのを見ると、どうやらお化けの類ではないらしい。
本気で心臓から手が生えてきそうなくらいびっくりした・・・・!
本当にびっくりする時は声も出ないんだ。
誰だよこんなところにいるの。
「・・・ちょ、え?・・・銀、さん?」
「・・・・・・」
「・・・、銀さん!」
「・・・・・・・・ああ、新ぱ、眼鏡か、・・よう」
「オイ今何んでそこで言い換えた、オイ。どうしたんですか、こんな所に座り込んで」
「いや、何もねえ、ってお前何時来たんだよ」
「今ですけど・・・・、気づかなかったんですか?」
あの玄関のドアは立て付けが悪いから開けたら結構音するし、ていうか目の前だし。
それに銀さん並の人なら気づくと思うんだけど・・・。
「あ~まぁ、な。用足してすっきりしたらまた眠くなっちまってよ。珍しく早起きしちまったからここでついうとうとと・・・」
「ええ・・・ちょっと。アンタまだ寝ぼけてるんですか~?顔洗ったら目、覚めますよきっと」
「・・・ん、あぁ、そうだ、な」
「銀さん?」
「まだ朝飯食ってねェから、用意頼むわ」
「あ、はい・・・・」
何だか顔色が悪い。
顔色もだけど、目だ。
いつもは死んだ魚の目、だ何だ言われているけれど、そういうんじゃなくて、何だかこう。
寂しそうな苦しそうな。
(何かに怯えてるような・・・気もする)
どうしたんだろうか。昨日飲み歩いてたわけでもないし・・・
「銀さん、もしかして調子悪いんですか?」
「いんや、至ってぴんぴんしてますう~朝からハッシュドビーフとかタンドリーチキン丸ごと一匹頬張れそうな勢いですう~」
「そんなもの作りませんからね、っていうかこの苦しい家計でそんな贅沢品朝から食えると思ってんですか」
「ちっ」
舌打ちしながらのっそりと洗面所に向かう姿を見て、訝しいと思いつつもいつもの口の悪さからやっぱりまだ頭が回ってなくてしんだいだけなのだろう、と思い朝ごはんの仕度に取り掛かる。
あ、朝ごはんといえば。
「そうだ、神楽ちゃんさっき見たんですけど、こんな朝からどこ行ったんですか?」
「・・・さぁな、知らねえよ」
「あんな必死な顔してたから、よっぽど大切な用事でもあったのかなぁ」
「・・・も・・すな・・れ・・・の」
「?」
小さく何かを呟いているようだがよく聞えない。
どうやら顔を洗ってもすっきりとしてないようで。
寧ろさっきより表情が暗い。しかも苛々しているようだ。
僕が来る前に一体銀さんに何があったんだろうか・・・?



 



そんなわけで、銀誕もうすぐですがアプってみました。
topに別ページとか作る時間ありそうならそっちに改めて挙げたいと思います~。。
今はブログでご容赦下さい~^q^;;

今回は珍しくぐらたんと新八視点でかいて見ました。
一応主軸は銀土なんですけど、第三者視点の銀土って書いた事無かったので。。
誕生日というめでたい話じゃなくてごめんなさい~!
この後はちゃんとラブラブしますから!
ていうかそこがまだ書けてないというあわばばば・・・!
ぐらたんと新八してんは終了済みです^^
多分ちょこちょこ手直しとか加わると思うので、発見してもそっと目を瞑っていただけたらさいわーい!

取り敢えず、銀誕あと一日!
祝うぞぉ~!
 

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柚月 咲良
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